

お客様と打ち合わせ後、デザインを描き起こします
だいたい、10分の1から5分の1位のサイズで2〜3案考えます。

デザインが決定したら、原寸大にデザイン画を拡大コピーします。
その上にトレーシングペーパ−を重ねて、下絵を製図用のシャーペンで描いて行きます。この下絵の線がガラスに転写され、エッチングの表情を左右します。
10分の1サイズのデザイン画の場合、1000%に拡大されるため、デザイン画はいわば、あたりです。微妙な狂いやわずかな歪みを修正しながら、デザイン画では省略した部分も厳密に描き起こして行きます。



ガラスにマスキングテープを貼ります。
今回はかなり大きな作品となるため、搬入経路の都合上、ガラスを3分割する事になりました。
手前がテープを貼る前のガラスで、後がテープを貼り終えた所です。

ガラスに下絵を転写します。
マスキングテープを貼ったガラスの上に鉛筆描きの面を下にして、トレーシングペーパ−に描いた下絵を重ね、上からヘラ状の物でひたすら擦ります。
かなりアナログな作業です。
そうする事によって、トレージングペーパ−に描かれた線がマスキングテープ面に写ります。ガラスの場合、裏から彫って表から見ますので絵柄は反対向きで転写します。

マスキングテープをカットします。
デザインカッターで、転写された下絵の線に沿ってマスキングテープをカットして行きます。このカットのラインがエッチングガラスの仕上がりの決め手となります。歪みや、ぶれが無いように美しいラインで正確にカットします。
下の写真は、絵柄のカットを終えて、最初に彫る部分のマスクを剥がした所です。
このマスクは捨てずに取っておきます。
人物や動物などは、あらかじめ筋肉の流れや膨らみなどを彫り下げてから、再びマスクを貼り戻し、細部のディールを彫って行く肉彫りという技法を使います。

また、時間と手間のかかる職人の技巧でもあります。
通常では、一つの作品は一人の人間が仕上げますが、このような大きな作品の場合、カットまでは数名で作業する事もあります。
しかし、ここから先は、職人の勘と経験のみで進められる作業なので、一人の人間が最後の仕上げまで行います。まさに匠の技の見せ所といえます。
2番目の写真は龍の胴体を肉彫りした後、マスクを貼り戻し、鱗を彫っている所です。
このように、一枚づつマスクを剥がし砂を吹き付け、ガラス面を彫刻します。
砂を当てる距離や圧力を微妙に調整しながら、立体感を出して行きます。





エッチングガラスの仕上げ方法には、彫り終えたガラスをフッ化水素に浸けて、彫り面に均一な光沢を出す、フッ酸処理(酸洗い)仕上げと、薬品による陰影仕上げとの2通りがあります。
今回は室内の壁面装飾なので、より立体感の出せる、薬品による陰影仕上げにしました。
彫り終えたガラスに数種類の薬品を塗布してシャドー(影)を付けます。
この時、彫りの時と同様に透明なマスキングテープでマスキングをします。
マスクを一枚づつ剥がしながら、薬品を塗布して行きます。
彫り面全てに、シャドーを付けたら、今度は再び砂を当て、ハイライトを入れます。
下の写真(鳳凰)は彫りっ放しの状態と陰影を施した後の比較です。




全てのマスキングテープを剥がし、クリーニングをして完成です。
(裏面が黒く見えるのは、黒い養生シートを貼ってある為です)
その後、現場に施工してすべて完了となります。下の完成写真は黒のバックスクリーンの上に設置しています。
